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2024.02.06

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助けてもらいのびのびと、『市民ドクヒ(原題)』俳優コンミョン


助けてもらいのびのびと、『市民ドクヒ(原題)』俳優コンミョン

『市民ドクヒ(原題)』は、ボイスフィッシング詐欺の被害者ドクヒ(ラ・ミラン)が犯罪組織のボス(イ・ムセン)を捕まえるという物語だと要約する時に、何か抜けているとしたらそれはジェミン(コンミョン)の存在だ。平凡な青年ジェミンは、ボイスフィッシング詐欺組織がでっち上げたアルバイトに応募をしてしまった挙句、中国の青島(チンタオ)に本拠地を置く組織に捕まり、監視されながら銀行員‘ソン代理’という名前で詐欺の電話を掛ける。自身が犯罪をしているということを明確に認識し良心の呵責を感じていたジェミンは、脱出を目指して自分が全財産を奪ったドクヒにもう一度電話をかけ、お金を取り戻す方法と組織の情報を全部教えるから助けてくれと要請する。『市民ドクヒ(原題)』で俳優コンミョンは、事実を伝えるジェミンの脱出記を一人で完全にやり遂げることにより、頼もしい主演俳優に成長したことを証明した。同時に、善良な末っ子のイメージを上手に活用した演技で観客を中国の青島という異様な世界に案内する。2023年6月に除隊し“何でもできるくらいエネルギーに満ちた“コンミョンに会い、新たな始まりを知らせる映画に関する話を聞いた。

助けてもらいのびのびと、『市民ドクヒ(原題)』俳優コンミョン

Q. 入隊前に撮影した『市民ドクヒ(原題)』が除隊後に公開され、宣伝の活動が出来ることになり、当インタビュー前日には舞台挨拶をしてきたそうですね。

A. やっと何かが始まったという感じだ。振り返ってみると舞台挨拶をしたのが『エクストリーム・ジョブ』以降、初めてだった。『ハンサン ー龍の出現ー』と『キリング・ロマンス』は軍隊にいる時に公開になったので。そのせいか、観客が目の前にいるだけでも嬉しいし、ファン達がくれた手紙の一行だけ読んだだけでも感動がこみ上げてきた。2020年の撮影真っ最中だった時のこともたくさん思い出した。青島でのシーンがコロナのせいで撮れず、群山の撮影場所で撮ったのですが、エキストラの衣装や町の風景一つ一つが全て本物のようで、現地に行けなかった残念な気持ちを感じることもなく没頭していた。

Q. 青島でのシーンをどのように説得力を持って引っ張っていくか悩みが多かったのではないか。

A. たしかに、ソン代理として電話をするシーンを演じきれるだろうかというプレッシャーが大きかった。どう演技すればいいか分からなかったので、YouTubeで実際のボイスフィッシング詐欺映像を探して、真似しながら録音もしたりして練習した。それでも不安だったので、暇さえあればパク・ヨンジュ監督とラ・ミラン先輩のところに行ってアドバイスをもらった。監督とは通話シーンではなくジェミンの現在の感情状態に関する話をたくさんした。ジェミンが組織の中でどれだけもどかしくて怖くて脱出したいかを声や表情で上手に表現した時に、観客は彼を理解し、青島でのシーンにものめり込むことができるのではないか。

助けてもらいのびのびと、『市民ドクヒ(原題)』俳優コンミョン

Q. ジェミンもドクヒのように実在する人物に基づいた驚くべき人物だ。この点は出演を決めるうえで影響したのか。

A. ジェミンを含め、どこまでが実話だか分からない状態でシナリオを読んだ。知ったとしても変わることはなかっただろう。カタルシスに溢れて、痛快な物語というのは変わらないから。作品を選ぶ時に、一番重要なのはいつも本だ。シナリオをいただいたら全体に目を通すようにしていて、「自分がいまこの文を読んでどれだけ興味が湧くか」に集中する。シナリオをしっかり読めるようになるために、俳優になってから小説も読み始めた。『市民ドクヒ(原題)』の場合、物語がくれる力だけでも十分だったが、その前にラ・ミラン先輩のキャスティングの知らせを聞いたのが決定的だった。先輩たちと共演できることがとても嬉しくて、パク・ヨンジュ監督に会って無条件にやらせてくれと強く申し出た。

Q. どうにかして脱出しようとするジェミンは、組織のボスに暴力を振るわれ足を引きずるギョンチョル(イ・ジュスン)と、自分のように騙されて入って来た青年たちを見過ごすことは出来ない。様々なエピソードを通して、ジェミンがドクヒのように諦めることを知らず温かい人物だということが明らかになるが。

A.  ジェミンは、悪事を見て不快さを感じても自ら乗り出て変えようとはしない、非常に平凡な20代前半の大学生だと思う。そのような平凡な人も勇気を出さなくてはならない瞬間には確実に勇気を出せる人物だということを見せたかったので、脱出を試みるシーンだけはファンタジーな感じを混ぜて演技した。ジェミンがドクヒと関わりながら生じる性格の変化も、それとなく表現できればと思った。ジェミンは電話越しに送って来たドクヒの積極的な支援で少しずつ勇敢になる。手伝ってくれると言うから自分も何かしらやってみようという気持ちで、使用が禁止されている携帯を手に入れて組織員に密かに金を渡し、管理人の役割を取った後に証拠を収集する。僕が演じた役が次第に自信を得ていく、変化に対する驚きと感心を、観客の皆さんにもありのまま伝えたかった。

Q. ついに青島でドクヒとジェミンが初めて対面するシーンを撮った時はどうだったか。ドクヒには‘ソン代理探し’ミッションが終わったという意味で、ジェミンには脱出に対する希望がもっと鮮明になったという点で重要なシーンだ。

A. その時、組織員たちも一緒にいたので、接触をバレてはいけないという緊張感があった。ところがラ・ミラン先輩は本当になんともない表情で「なぜ?思っていたより綺麗?」というセリフをふいに言い放った。その後からは、あまり決め過ぎなくてもいいんだと思い気持ちが楽になり、より集中することが出来た。このシーンから‘チームドクヒ’の先輩たちとご一緒したのだが、どんよりした空が晴れるような気分を感じた。恐らくジェミンもドクヒと初めて会った時、このような幸せを感じただろう。

助けてもらいのびのびと、『市民ドクヒ(原題)』俳優コンミョン

コンミョンが選ぶ『市民ドクヒ(原題)』の名セリフ
「騙してすみません。僕もやりたくてやったわけじゃないんです。本当に申し訳ありません。」


最後にジェミンがこれまでソン代理として行ってきた過ちについて許しを請うセリフであり、僕が思う彼の一番核心的なセリフだ。無理やりボイスフィッシング詐欺をさせられたのだが、自分のせいで被害者が出たのは事実だから、ジェミンはそれに対して大きな罪悪感を感じているだろう。それほど切実に申し訳ないと言いたかったと思うし。どうすれば言葉にしたときにジェミンの本心まで一緒に伝わるのか、たくさん悩んだのでこのセリフが一番記憶に残っている。


写真提供:CINE21.com
出処:CINE21.com